待つ、という言葉がある。
店主はいつからか、待つ事が好きな人間になっていた。
学生の時分はあんなにせっかちであったのに。
この待つという言葉を解体すると、"道の途中で、何かをもっている人"といった意味がある、らしい。
つまりは待つ側の人間は"何かをもっている"必要がある。
その話が本当だと、"待つ"事とは暇な時間を潰す行為と異なる事なのだろう。
何かを待つ時、もし待った先にあるものが同じものだとしても、その待ち方によって違うものになるのかも知れない。
そういった、可能性の塊が待つ事なのだ。
その時に備えて、その時を想い、その為に準備をする。
こんなに心躍る行為は中々無い。
店主はその喜びの為に、今日も独り"待つ"
その時が来ることを信じて。
カチャリ
店主
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