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響くもの

更新日:2019年11月8日

No Room For Squaresには180種ほどのお酒を揃えている。そして、900枚ほどのレコードも揃えている。 店主が最終的にNo Room For Squaresで行いたいことは、このマリアージュなんだろうと最近は思う。 お酒と食事のマリアージュは、昨今というか、もっと前より注目されているが、空間とお酒もマリアージュ出来ないのだろうか。店主が学生の時分であったとき、一日中聞きこんでいた曲を聞くと当時の記憶がありありと呼び起こされる。記憶とその時の体験は必ずリンクしている。 目の前のお酒と響く音楽がマッチし、心地よい記憶が呼び覚ます。そんな体験がNo Room For Squaresで起こるのならば、言うことはない。 9月中頃に開業し、ひと月とすこし。先日、それに近いことが起きた。 平日は店主がLPをかけ、バーテンダーがお酒を提供している。お客様も引き始めた深夜すぎ、ジャズに精通しているとても穏やかなお客様が現れた。

他のお客様の兼ね合いもありながらの選曲、次はどうしようか。

彼が何を飲んでいるのかを確認するとバーボンのハイボールだった。


深夜も過ぎた。そろそろ少しずつ店の雰囲気を落ち着かせたいが...。 私は秋吉敏子 Hopeから Bill Evans Undercurrentへと繋ごうとしていた。

彼の目の前にある杯が乾き、次の一杯が作られている。SpringBank 15年のロックのようだ。

タイミングが良い。

その一杯と同時に音楽が変わるよう、店主はBill Evansに盤を映した。



そうすると、その方は少し悲しげな表情を浮かべながら、杯を覗き込んでいた。


お話を聞くと、SpringBankが好きで、尚且つBill Evansを敬愛している方の想い出話をしていただいた。もう、その方と会うことは叶わない。

その記憶が、お酒と音楽によってNo Room For Squaresで呼び覚まされることになったのだ。


No Room For Squaresでのお酒とレコードの組み合わせは約16万2000通りだ。 ちょっとした奇跡のようなものを感じながら、今日もそれが起こる事を祈って針を落とす。 店主

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良く"死ぬ時は良い人生だったなぁ"と思って逝きたいという話を聞く。 良い人生とは何か。店主はよくわからない。 多分、ずっとわからないのだと思う。そんな気がするのだ。 だから、店主は死ぬ時まで頑張った人生だったと思いながら逝きたい。 どれだけ辛い事があろうと、どれだけ人に笑われやうと、頑張り続けて終わりたい。 店主

店主は同世代と過ごした期間があまりない為、「想い出の音楽」という記憶が少ない。 たぶん、浜崎あゆみとか、えーと、なんだ? スマップとか流行っていたっけ? そもそも音楽でご飯を喰う(と広義で言っていいと思う)とは思ってもいなかったもので、大学入ってからの音楽体験が店主のバックボーンであるのだと思う。 そう思って32年間生きてきている。いや、いた。 何でそんな話をしているのかというと、つい先日それが揺