検索
  • 店主

目を覚ます



疲れていたからか携帯電話は充電しておらず、電池が切れていた。

見回しても時計は無い事は知っている(家主はそういう人間だもの)。

ゴソゴソ、と携帯電話をアウトレットに繋げる。彼が起きるまでもう少し時間が必要だ。


まだ、暗い。


少し寒さを覚える。

衣替えという概念も無く一年を過ごしているので、我慢するしか無い。



外が騒々しい。

雨が降っているのかも知れない。

風が強いのかも知れない。


誰かに戸を叩かれているようだ。


おーい。おーい。


そんな声も聞こえる。



眠け眼で窓をゆっくりと開けると、そこには大きな木がポツンとたっていた。


お前が呼んだのか?

答えはない。


何かあったのか?

答えはない。


私は眠いのだ。

答えははない。


では、閉めるぞ。また何かあったら呼んでくれ。

答えはない。


扉をピシャリと閉めて、天井を見上げる。

彼の声はもう聞こえない。

私なんかで満足したのだろうか。


まだあと少し眠れるはずだ。


ゆっくりと呼吸を吐いて、一言言いたくなる。


"お休みなさい"


閲覧数:76回0件のコメント

最新記事

すべて表示

良く"死ぬ時は良い人生だったなぁ"と思って逝きたいという話を聞く。 良い人生とは何か。店主はよくわからない。 多分、ずっとわからないのだと思う。そんな気がするのだ。 だから、店主は死ぬ時まで頑張った人生だったと思いながら逝きたい。 どれだけ辛い事があろうと、どれだけ人に笑われやうと、頑張り続けて終わりたい。 店主

店主は同世代と過ごした期間があまりない為、「想い出の音楽」という記憶が少ない。 たぶん、浜崎あゆみとか、えーと、なんだ? スマップとか流行っていたっけ? そもそも音楽でご飯を喰う(と広義で言っていいと思う)とは思ってもいなかったもので、大学入ってからの音楽体験が店主のバックボーンであるのだと思う。 そう思って32年間生きてきている。いや、いた。 何でそんな話をしているのかというと、つい先日それが揺

昔から帰属意識が嫌いだった。 学校も、家も、帰る場所としての機能は無かった。 だからこそ、近しい人の意見に左右される事なく今までやってこれた。 もし、居心地の良い椅子が目の前にあったとしても、その椅子から立たなければならない。 或る人が、私ではない人に言っていた言葉が強く刺さる。 "居心地の悪い所にいる事は大切なことだよ" No Room For Squaresは動く事が出来ない。 だけれど、精神